アメリカのミネソタ州に住む叔父から、月1回の割合で、私を含む親しい知人たちにピリッと風刺が効いたメー ルが送られてきます。正確には「私の亡くなった母の従妹の夫」なのですが、こよなくユーモアを愛するミネソタの住人です。
ここ数か月送られてくるメールのテーマは、ズバリ新型コロナウィルス。言うまでもなく、人類が今直面している最大の災厄です。
メールによると、80歳代後半の叔父夫婦は、行政からは外出を制限され、食料などの生活必需品は近くに住む娘夫婦に届けてもらっているそうです。
実は、コロナ禍が話題に上る直前のこの年末年始、私と家内の二人は8年ぶりミネソタを訪れ、叔父と叔母に息子さんと娘さん夫婦、さらに飼い犬たちも交えて楽しい時間を過ごしました。老境とはいえ心身ともにまだ若く、愛車のスバル・フォレスタを日々運転する二人ですが、コロナ禍の最中では、行動制限もやむを得ないと観念している様子です。
ちなみに、ミネソタ州の人口は564万人ほど。5月1日現在の新型コロナの感染者数は5,136人、死者343人を数えています。訪れた時には秋田と似通った田舎の州という印象でしたが(実際は州都のセントポールとミネアポリスの通称ツインシティーズ都市圏の人口は340万人で、全米第15位の大都会)、アメリカ全土に感染が広がる中、秋田県の状況(人口97万、感染者数16人、死者ゼロ)と比べても打撃は深刻のようです。
冒頭の写真は、今回叔父から送られてきたメールに添付されていたものです。日本語に訳すと、こんな感じでしょうか。
犬たちの会話
「ママ、なんで人間たちは変な口輪をしているの?」
「坊や、それは『お座り』と『待て』もわからないおバカさんだからよ。」
過酷過ぎるすべり台
「もし、2020年をすべり台にたとえたら」
感染者数こそ少ないものの、ここ秋田でも新型コロナの影響は経済界において深刻度を増しています。やや気が早いかもしれませんが、今回と次回のコラムでは、コロナ禍が終息した後の秋田県の社会・経済について、私なりの考えを思いつくままに記載したいと思います。
まずは、通勤と在宅勤務(テレワーク)について。政府は人との接触を80%削減するため、テレワークを推奨しています。しかし、「秋田でそれは無理。そもそも東京のようなラッシュアワーも無いし。」と思っている方も多いのではないでしょうか?
見方を変えてみましょう。冬の朝の秋田市内の主要道路の混雑ぶりはかなりのものです。普段はバスで20分間の通勤時間が、降雪期には3倍以上というのが当たり前の風景です。さらに、県内にはマイカーで遠距離通勤をしている方もかなりおられます。私の知っている方は、横手市から秋田市の職場まで、片道60キロを1時間半かけて毎日通勤しています。冬場は天候によってはその2倍の時間を覚悟しなければなりません。
いわゆる「3密」の問題を離れて、テレワークや時差出勤、フレックスタイム制の導入を進める企業が拡大したら、秋田県内のオフィスワーカーはかなりの恩恵を受けるのではないでしょうか。さらに、秋田県がテレワークの先進地となることで、小さなお子さんを育てながら働く女性とイクメンパパたちにとって、秋田県はとても魅力的に映るはずです。また、大都市圏に住みながら秋田の経済活動にも貢献したいと願っている人たちの知識や技能を活用するための社会環境を整えることにも繋がります。
ポスト新型コロナの日本で、秋田県はテレワークを始めとする働き方の多様化を進めることで、女性や若者、そして高齢者が働きやすい県全国1位を目指すというのが私の考えです。
(次回は、「新型コロナ」と事業廃止の問題について考えたいと思います。)
(次回につづく)