書名:農家はもっと減っていい
著者:久松 達央
発行日:2022年12月5日(第5刷)
発行者:光文社新書
価格:1,040円+税
書評
著者の久松達央氏は、慶応大学を卒業後、帝人勤務を経て28歳で農業を始めた人。農業者として、経営者として、そして文章家としての才能に感嘆してしまいます。文章家としては、辛辣な批評と強面のユーモアが秀逸です。「零細農家は家賃のかからない軒先商売」「ドヤ顔でおすそわけ」「無駄に使われている税金に正しい『供養』を」等々。
久松氏は、業界と社会、人間に関する視点の多さと視界の広さ、そしてそれを自分なりに解釈・整理して人に伝える能力を持った人物のようです。
農家といえども一人の経営者に違いありません。プロの農家は同時にプロの経営者です。他の業界と異なり天候や病害虫といった自然の脅威と常に対峙する農業分野ですが、だからこそ、これほど面白くやりがいのある仕事もありません。