書名:美酒復権
著者:一志 治夫
発行日:2018年12月3日(第1刷)
発行者:プレジデント社
価格:1,500円+税
書評
副題に、秋田の若手蔵元集団「NEXT5」の挑戦、とあります。そう、あのNEXT5です。
この本を読むとNEXT5が偶然と必然の絶妙な醸し合いの中から誕生したことが理解できます。
「もしこの五人が時を移さずして出遭わなかったなら?」「もしこの五人がいずれも人並外れた努力家でなかったら?」「もしこの五人が、経験と勘に頼るだけの杜氏連中や、市場環境の激変のなかで十年一日のごとく経営を続ける酒販店の言いなりになるだけの蔵元であったなら?」こう考えてみると、企業の成長要因の一番は、やはり経営者自身の人柄と努力であることがわかります。
さらに、一旦成し遂げた成長を持続させるには後継者の育成が必要とされるのですが、残念ながらこの本にはNEXT5各蔵元の「ネクスト」については触れられていません。
いずれにせよ、「天は自ら助くる者を助く」という言葉を改めて噛みめてみる契機となる好著といえます。特に、「俺もしねがら、おめもするな!」という「ひやみこぎ(面倒くさがり)」な県民気質に未だ毒されていない、若い秋田県民の皆さんに読んでいただきたい本です。