書評

第2回 会社は頭から腐る

第2回 会社は頭から腐る

書名:会社は頭から腐る

著者:冨山 和彦

発行日:2016年3月22日(第1版 第2刷)

発行者:PHP文庫

価格:648円+税

書評

「会社は頭から腐る」「現場が一流でも経営が三流ではもはや生き残れない!」今回ご紹介する本のタイトルはかなり刺激的です。

 著者の冨山和彦氏は1960年生まれ。現在は株式会社経営共創基盤代表取締役CEOを務めています。産業再生機構の設立に参画し、JALを始めとする多くの企業の再生に関わった、この分野における第一人者です。

 著者は、企業再生は言い訳との戦いである、と言っています。さらに、人間もその集合体である組織も習慣の生き物であり、従来のやり方を変えたくないし、一度手にしたものを手放したくないのだから、「再生」という厳しい局面こそ、これらの旧習を一気に大変革する千載一遇のチャンスである、と言い切っています。

 人々は、昨日の延長に今日があると思うことで、毎日を心安らかに迎えることができます。一方、企業再生の局面では、そのことが逆に命取りになります。

 「同じことを繰り返しながら、違う結果を望むこと、それを狂気という。」といった人がいます。かのアルバート・アインシュタインの言葉です。まさに至言です。

 この本は「企業再生」をテーマにしていますが、「秋田を、日本を、いや世界を変えてやる!」という気概を持って起業を夢見ている人たちや、同じことを繰り返す毎日に飽きたらずに、企業や社会の現状を変えたいと願っている若いビジネスパーソンの人たちにも、ぜひお勧めしたい本です。